タロットカードの昼と夜

「二律背反性」をテーマにタロットカードの意味を解説していきたいと思います

大アルカナ17番「星」の意味

はじめに

今回のカードは大アルカナ17番「星」です。

このカードはシンプルなようで解釈が難しいカードの気がします(どのカードでも似たようなこと言っていますが)。

絵の中に含まれるシンボル的な要素が少ないですから、単純に、星=輝く=良い未来とか吉兆なんて解釈をしてしまいそうです。

しかし、絵を見て想像力をはたかせて意味を探り出すのがタロットの魅力ですから、この絵からも頑張ってイメージを膨らませてみたいと思います。

水を汲む女性

まず、裸の女性が池から水を汲んで陸に水を注いでいます。

絵的には池にも水を注いでいるようにも見えますが、さすがにそれだと解釈しづらいので、池から水を汲んでいるとします。

他方で、水を地面に撒いています。よく見ると緑の地面には小さな花がいくつか咲いていて、土地が少しずつ豊かになっていっているのが見て取れます。

水は、愛情とか友情といった感情的なもののシンボルですから、湧き出る感情を外にふりまいて、世の中を豊かにしようとしていると理解して良いと思います。

ここで、世の中を豊かにするという点は、なにも、社会奉仕活動等のようにとらえなくても良いかと思います。世の中といっても自分の周りの世界であり、自分の人生を豊かにしようとしていると捉えても問題ない気がします。

8つの星

上述のように、女性が愛情や友情を外に撒いて人生を豊かにしようとしているのですが、空には8つの星が輝いています。

そして、大きい星が一つあって、小さな星が7つあります。

ここで、この大きな星は、明けの明星だとか、シリウスだとか、北極星だとかいろいろな説がありますが、あまりそこら辺に深入りする必要はないかと思います。

ウェイト版のカードの箱についてくる小冊子には、下記のように書いてあります。

STAR Represents hope and faith.

つまり、このカードは、希望と信念(もしくは信仰)を表しているということになります。私はこの説明がしっくりきます。

この女性は、人生を豊かにすべくせっせと働いているわけですが、その理由には、女性を導いてくれる希望なり信念なり信仰があるわけです。この場合、希望は夢と言い換えても良いかもしれません。

遠くて小さいけど、暗い夜空の中で光輝く星は、古くから航海の道しるべとして使われてきました。

この女性が、自分の人生を豊かにしようと行動する際の道しるべがこの星であり、それが希望(夢)だったり信念(信仰)だったりするわけです。

そして、8つの星のうち一つだけ大きく輝いているのも、希望や信念というのは人それぞれであり、まさに星の数だけあるのですが、そのうちの一つが自分を導くという理解でよいかと思います。

ここが太陽とか月とか一つしかないものとの違いです。

星は無数にあり、その中でも、シリウスだったり北極星だったり、古の時代には様々な星が様々な目的で道しるべとして用いられてきましたが、それと同じで、人も、自分なりの希望なり信念に従って生きていくわけです。

何も全員で同じ方向を見る必要はなく、自分なりの希望や信念があればよいのです。

個性の闇

最近はやたらと個性が強調されます。

以前と違い、人が、国やらイエやら会社やらに従属する時代は終わりましたから、自分こそが最も大事なものになりましたから、それも当然かもしれません。

そういう意味ではこの星のカードは、現代人の想いと合致しやすいかもしれません。周りを気にせず自分なりの信念に基づいて生きていこうと。

しかし、国やイエや会社から解放されたと言っても、それらから離れて暮らすことは出来ません。

人間は一人では生きていけませんから、何らかの形で社会生活を送ることになります。

数年前、世界に一つだけの花という歌が流行り、ナンバーワンでなくてもよくてオンリーワンでよいというメッセージを伝えていました。

しかし、実際は、オンリーワンだからこそ序列化されるわけです。もし皆が同じであればそこに順位はありません。

みんながオンリーワンで異なるからこそ、会社や学校等で共通の目的をもって集団生活を送る場面で、共通目的と比較して序列化が始まるわけです。

このカードを解釈する時にこの視点は外せません。

自分なりの信念に基づいて行動するということは、他と異なり孤独になる可能性があるというだけでなく、社会生活を送る場面では、何らかの価値観に基づいて序列化される運命にあるということです。

裸の理由

最後に女性が裸の理由を考えてみます。

これは、多くの書籍で説明されているように、純潔とか純粋とかを表すとなっていますが、上記のような解釈に溶け込ませるためにはどう考えればよいでしょうか。

一見難しそうですが、これは、もし服を着ていたらと考えると結構わかりやすいです。

例えば魔術師や皇帝のように、この女性が意志を表す赤い服を着ていたらどうでしょうか。

そうすると、なんだか、希望や信念に従って行動しているというより、意志に基づいて、特定の目的のために行動しているような感じを与えます。

そうではなくて、このカードはもっと高次の理念的なもの、より大きな目的、人生を通じて当てはまるようなものを伝えようとしているのだと思います。

特定の目的をもって行動する人生の短期的な一部ではなく、人としての基本的なあり方として、希望や信念に導かれて純粋な気持ちで、自分の人生を豊かにしようと社会と感情的なつながりを持っている様子を描いているのだと思います。

裏の意味

裏の意味を一言で言うと、星はたくさんあるということでしょう。

自分なりに希望や信念、場合によっては信仰をもって行動している(行動できている)のですが、それは、自分だけのものであり、周りに人とは違う可能性があるということでしょう。

希望(夢)に向かって行動するとしても、それが高く遠い目標であるほど、理解されないことは多いものです。

希望や信念というものは、自分の人生を根底から支えてくれるものですが、自分だけのものである点で、本質的に孤独を導くものとなってしまいます。

逆の意味

逆の意味は、希望や信念が見えない状況です。

これは、夢が打ち砕かれた状況や、希望を失って絶望感にさいなまれているような状況でしょうか。

自分の行動が裏目に出て信念が揺らいでいる状況かもしれません。

まとめ

正位置
心の奥底に健全なものを維持できている。希望(夢)や信念(信仰)をもって前向きに行動できている。しかし、希望や信念は他人と完全に共有できるものではない。人は究極的には孤独で社会における序列化は避けられない。

逆位置
挫折や絶望。向上心の喪失や良心の喪失。世間の中でどう行動していけばよいのかわからない。また、周りと価値観が合わず軋轢が絶えず孤立。

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テーマの著者 Anders Norén