タロットカードの昼と夜

「二律背反性」をテーマにタロットカードの意味を解説していきたいと思います

大アルカナ16番「塔/タワー」の意味

はじめに

今回のカードは大アルカナ16番の「塔/タワー」です。

文章にするときは「塔」と書く人が多いですが、実際に言葉にするときは「タワー」と言う人が多いと思うので、両方取って「塔/タワー」としました。

このカードはタロットカードきっての不吉なカードとされていますが、「悪魔」でも「死神」でもなく、「塔」を描いたカードが一番不吉というのもちょっとおしゃれな感じがして私は好きです。

そんな不吉な「塔」ですが、このカードに描かれているのはバベルの塔であり、傲慢な人間に神が罰を下しすことを意味し、思い上がった態度こそが後の不幸の元凶であるといった解釈がされることがよくあります。

私もそういったドラマチックな解釈は嫌いではありませんが、因果応報の劇的な結末ととらえるよりも、もう少し運命論的に、人間が積み上げたものなど、いずれは崩壊する運命にあると捉える方が好きです。

長い人生の中、今までの努力は何だったんだと思えるような困難に出会うことがありますが、大きな視点で考えればそれは特別なことではなく、生きていれば誰もが時々遭遇する事態であり、決して特別なことではないのだと思います。

絵の解釈

このカードの絵の解釈はシンプルです。

高い塔に稲妻が落ち、塔は燃え崩壊し、一番上の王冠は吹っ飛び、二人の人間が落下しています。

まず、稲妻は、神の意思や神の力の象徴ということになりますが、思い上がった人間を懲らしめようとする意思・力と具体的なストーリーに沿って考えずに、人間の力ではどうすることもできない大きな力ということで良いかと思います。

そして、それは雷のように突然来ます。

稲妻が落ちて人間が積み上げてきた努力の象徴である塔は火を噴き崩壊し、一番上にある王冠が弾き飛ばされています。

この王冠というのは、権力や財力の象徴ととらえるのが素直ですが、客観的な立派なものというよりは、自分なりに築き上げてきた自慢のキャリアとか人間関係のように、自分の中で育ててきた自信やプライド的なものと考えた方がしっくりきます。

つまり、このカードの絵は、突然自分ではどうすることもできない力が働き、今まで自分が積み上げてきたものが一気に崩壊し、真っ逆さまに転落する様子を表しています。

問題は、落下する二人の人間と火の粉。

これらの説明は後回しにします。

学びと成長のプロセス

人間が学び成長していくプロセスには4段階あるとされます。

1.知る
2.理解する
3.疑う
4.超える

まず、すべては知ることから始まります。

歴史の勉強の目的は時代の流れを掴むことであり、年号とか将軍の名前とかを暗記することではないですが、基礎知識が無ければ何も始まらないように、学びも成長も、まずは基礎的なことを知ることから始まります。

しかし、断片的な知識を、適当にインプットして行ってもそれらを応用することはできません。

1つ1つの知識をしっかりと理解すること、すなわち、個々の知識を関連付け、体系的に整理して自分の思考・行動の土台とすることで初めて、社会生活で応用することが出来ます。

また、体系だった理解があればこそ、そこに日々の経験を加えて、自分の理解を一層深めていくこともできます。

知識・経験をランダムに得るだけでなく、理解、すなわち体系的に整理してフレームワークを作るからこそ、未知の問題も処理することが出来るわけです。

そして、日々の経験を取り入れ積み上げてそのフレームワークを育てていくことで、経験を積むにつれて、高い視点から物事を見て、リラックスして物事を考えられるようになります。

しかし、人間、とくに自分の知恵などたかが知れたもの。

どんなフレームワークも、必ず、想定外の洪水により押し流される時が来ます。

自分なりに深く理解していたつもりでも全く通用しなくなる日が来ます。

それは避けられません。

そして、それを乗り超えていかなくてはいかないのですが、そのためには、日々理解に努めるとともに、悩み疑っていたことが重要となります。



理解に努めるだけでなく、日々自分の知識や理解を疑ってきたものだけが、自分の理解が間違いだったとわかったときに、既存のフレームワークの欠点を修正して、新しいフレームを構築して、乗り越えることが出来ます。

これは、仕事のキャリア構築や人間関係の構築など、すべてに言えることで、自分のやり方が通用しなくなった時に、今までの考えは間違っていたとなって、では正解は何かなんて考える他力本願では過ちを繰り返すばかりであり、日々疑い悩む態度を持った者だけが、新しい水平線を切り開いて、困難を乗り越えることが出来ます。

したがって、人が学び成長していくプロセスにおいては、知ると理解するだけでは不十分と言われ、未曽有の事態を乗り越えるためにも、日々理解に努めるだけでなく心のどこかで、疑い悩む心を持ち続けることが重要と言われます。

二人の人間と火の粉

このカードで、稲妻の横には10個の火の粉が描かれています。

10と言えば大アルカナ10番の「運命の輪」です。

つまり、運命は人の力ではどうすることもできない力によって回っており、自分が積み上げてきたものを一瞬で破壊する稲妻もいつか必ずやってくるし、それを防ごうとしても人間にはどうしようもないことを暗示しています。

ここが、私がこのカードにおいて、傲慢さを戒めるという解釈を取らない一番の理由で、「傲慢さや間違った信念に基づいた試みはいずれ天罰を受ける」のではなく、たとえ善良な試みであっても、運命の流れの中で、うまくいかなる時が必ず来るという解釈をしています。

そして落下する二人の人間。

右の人は青い服を着ていますが、左の人は青い服に赤いマントをつけています。

そして、左の人の周りには12個の火の粉があり、これは大アルカナ12番「吊るされた男」の暗示なんだと思います。

確かに左の人は、赤と青の二色の服を着ている点で吊るされた男に似た服装をしています(少し違いますが)。

吊るされた男は、苦難の果てに栄光を掴むものの象徴ですが、カードを通して表現されているのは、運命の中で自分の中の矛盾(赤と青)と降りかかる苦難を真正面から受け止めたからこその栄光です。

したがって、この二人は、突然の稲妻によってそれまで作り上げてきたものが崩壊し、真っ逆さまに落ちる人を象徴しているわけですが、1人は悩み疑ってきたからこそ後に復活する人を暗示し、もう一人は、特に悩まないできたためにそのまま破綻してしまう人を暗示しているのだと思います。

このカードの意味

このカードは、不幸を暗示するカードですが、傲慢に対し神が裁きを下すという、一連のストーリーの終わりを意味するわけではないと思います。

そうではなくて、人間が積み上げるものなど、所詮は大きな力(天の意思)には遠く及ばず、遅かれ早かれ崩れる運命にあることを意味しているのだと思います。

そしてそれは、因果応報の劇的なクライマックスではなく、人の人生の中で普通に何度も登場するイベントなわけです。

突然の稲妻によって、今まで築き上げてきたもの(塔)だけでなく、そこから生まれた自信やプライド(王冠)も吹っ飛ばされ、見通しのよかった位置(塔の上)から落下します。

それは人間の努力でどうすることもできないものであり、いずれそうなるわけです(運命の輪)。

しかし、大事なことはその後の復活であり、疑い悩んで生きてきた者は(吊るされた男)、その衝撃を真正面から受け止めることで、より高いところに行けるわけです。

まとめ

正位置
トラブル、不幸、崩壊。築き上げてきたキャリアや人間関係は崩壊し、培ってきた自信やプライドも喪失。

逆の意味
これまでの成功は一旦リセットされるが、自分の成功を疑い現状を悩みながら生きてきた者には、より大きな飛躍へのきっかけとなる。

逆位置
大きなトラブルや崩壊は無いが、大きな飛躍もない。ダラダラ現状が続く。

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テーマの著者 Anders Norén