タロットカードの昼と夜

「二律背反性」をテーマにタロットカードの意味を解説していきたいと思います

大アルカナ4番「皇帝」の意味

はじめに

今回のカードは大アルカナ4番 皇帝です。

このカードは、皇帝という圧倒的な名前の割に、実際の絵には少し陰鬱さが漂っていてそのギャップに悩んでしまいそうなカードです。

とても偉大なものを手に入れたのですが、心は晴れないというところでしょうか。

タロットカードについてくる白い小冊子において、このカードは下記のように書いてあります。

THE EMPEROR Represents self-control through intelligence

つまり、このカードは、理性による自己コントロールを表しているとのことです。

理性による自己コントロールなんて、小学校くらいから道徳として教わりつつ、大人になっても課題になるようなものですが、それを達成しても暗い影が漂うのはどうしてでしょうか。

以下では、理性によく自己コントロールが何をもたらすのかを考えつつ、皇帝にもなって気が晴れない理由を考えてみたいと思います。

皇帝の姿

まず、皇帝をよく見てみます。

理性による自己コントロールと言いつつ、一体理性は絵のどこに表現されているのでしょうか。

一見わかりにくいですが、そうはいってもこの皇帝が立派に見えるのは間違いなく、理性を表しているのは、白髪とひげを持った老成した顔でしょう。そう考えてよいと思います。

つまり、このカードでは、白髪と白いひげからなる老成が理性の象徴です。

そして、真っ赤な服を着ています。これは魔術師と同じで、大いなる意志を表しています。

魔術師同様、大きな意志・目標といったものを持っています。

さらに、服だけでなく、澄んだ青い空ならぬ真っ赤に燃える空が、大いなる野望を示しています。

しかし、魔術師と大きく異なるところがあります。それは、赤い服の下に鎧をまとっている点です。

魔術師の場合は、無限の可能性は感じさせるものの老成していない若者が、赤い上着を羽織っていましたが、その下は無垢な心を表す白い服を着ていました。

しかし、この皇帝では、老成して知性や経験を備えた男が、赤い上着を着ているものの、その下に鎧を着ています。

これは、何を表しているかというと、単に意志があるだけでなく、その下でしっかりを準備ができていることを意味します。そして、それはイコール、自分を理性の力でしっかりと自分をコントールして現実に対応できていることを示しています。

魔術師のように、出来そうもないことを、野望に駆られるがままにやろうとしているのではなく、前のめりにならずに、十分に準備して臨む姿を描いています。

そして、この皇帝は、玉座に座り、王冠をつけるとともに、右手に指導力を表す杖、左手に世界を表す金のオーブをもっており、指導者・支配者であることを示しています。

つまり、理性によって感情的な部分をしっかりとコントロールした上で、十分に準備して事に臨み、大いなる成功を収めたということでしょう。

この皇帝は、ある意味自分の分身であるとも捉えられ、理性を働かせて入念に準備して行動すればどんな目標でもかなえられるという非常にポジティブな意味を見つけることが出来ます。

世俗的な成功

この皇帝が表しているのは、世界の支配という世俗的な成功であることは注意が必要です。

世界を支配するというのは、出世とか、学歴とか、金銭的成功といった各種成功の頂点に立つものですが、それらはいずれも、世俗的な成功です。

大アルカナ3番「女皇帝」が精神的な充実からくる豊かな生活を表しているのに対し、この「皇帝」は世俗的、もっと言えば物質的な成功を表しているのです。

精神的な成功、つまり、愛情あふれる生活から来る充実感や幸福感というのは、理性による徹底的な自己管理と入念な準備からもたらされるものではなく、直感的で素直な心を大事にすることから来ます。

このカードが表す成功は世俗的・物質的であることは意識する必要があります。

精神的修行を重ねて神に近づくとか、親族や友人との情緒的な交流を盛んにするとか、そういう方向とは対極にあるものです。

もちろん、タロットカードは宗教ではありませんから、世俗的な目的を捨てて、精神世界に生きるべきなんてメッセージはありません。

現実世界で幸せになるには、心の安定も物質的充足も両方必要です。

裏の意味

では、徹底した自己コントロールによる成功の裏側にあるものは何でしょうか。

それは、絵から見つけようとすれば、玉座に座ってもまだ脱げない鎧でしょうか。

前提として、この皇帝が手に入れた世俗的・物質的な成功というのは、非常に競争的なものである点があります。

出世や進学等は、一旦勝ったとしてもそれで終わりではなく、それを維持するための戦いや、勝者の中でのさらなる競争が継続するという一面を持っています。

つまり、成功したからそれで上がりではなく、進み続けないと後退してしまうという油断ならない日々が続くわけです。

理性で自分をコントロールして世俗的・物質的成功を納めても、そこで待っているのは気の休まらない日々ということでしょうか。

また、こういった競争的な成功というものは、競争の結果得られるものですから、そこには必ず敗者がいるということです。

つまり、競争において、自分が敗者をつくらなくてはいけない、闘って相手に勝たなければならないわけです。

ライバルに勝たなくてはならないということであり、ライバルが友人であるような場合にも、勝ち負けをはっきりと付けなくてはならないということでしょう。

また、世俗的・物質的成功を収めることと、心の平安を得て精神的な幸福を得ることはイコールではないということも言えます。

逆の意味

逆の意味は、理性によるコントロール不足、つまり、感情に振り回されたり準備不足だったりして、競争に敗れ、目標が未達成に終わるということでしょう。

欲しいものが手に入らないということを意味します。

まとめ

正位置
理性的な自己管理の徹底及び入念な準備による目標達成や勝利。その一方で気の抜けない日々の継続。また、精神的な幸福につながるとは限らない。

逆位置
自己管理不足または準備不足による目標の不達成や敗北。終わりなき競争と気の抜けない日々から来る疲弊。

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テーマの著者 Anders Norén