タロットカードの昼と夜

「二律背反性」をテーマにタロットカードの意味を解説していきたいと思います

大アルカナ15番「悪魔」の意味


はじめに

この記事では大アルカナ15番「悪魔」の解説をします。

悪魔のカードというのは、簡単なようで難しいかもしれません。

何故かというと、悪魔という言葉と、シンプルな絵柄から受けるイメージが強烈すぎて、あっさりとした解釈になりがちだからです。

悪魔=悪い奴といった捉え方をして、このカードを単なるおみくじの凶であるかのように捉えてしまうとどうなるでしょうか。

恋愛相談にしろ仕事の悩みにしろ、「悪魔が出たので悪い予兆です、恋愛は成就しないし、仕事も成功しないでしょう」なんて解釈をすると、リーディングはシンプルになりますが、それこそまさにおみくじと一緒で、タロットの奥深さもなにもあったもんじゃありません。

特に、他のカードの解釈との整合性はめちゃくちゃになります。

悪魔が凶で、世界が大吉で、太陽が中吉などと振っていって、月は不安です、なんて解釈をしてしまうと、相談者の頭の上の?マークが目で見えてくるかもしれません。

もちろん、物事を単純に考えることも重要ですけどね。

そういったわけで深読みを試みるわけですが、ポイントは、当たり前すぎて恐縮ですが、人間の他に悪魔がいるということです。

愚者の場合がけから落ちても本人のせいです。しかし、悪魔の場合、鎖で繋がれた人間が身動き取れないのは、悪魔のせいです。

その点に注目して、カードの解釈をしてみたいと思います。

心の時代

最近はすっかり心の時代になってしまいました。

何かあるとすぐに心のケアが叫ばれ、心の専門家が登場してきます。

例えば、いじめで不登校になった生徒が出たとすると、スクールカウンセラーが動き出します。

しかし、果たして、それで何か解決するのでしょうか。

もちろん、ストレスや不安を解消できるかもしれません。

しかし、カウンセラーは、不登校の生徒が友人や先生への不満を叫んだとしても、「そこはとりあえずさておき、君の心の中にある不安とストレスをどうにかしよう」とくるわけです。

しかし、いじめで不登校になった場合やハラスメントで出社拒絶状態になった場合、話を冷静に聞いてくれる人は必要だとしても、その二人で話し合って何か問題が解決するのでしょうか。

本当の問題は心ではなく外部にあるケースなんてたくさんあります。

つまり、カウンセラーというのは、問題をすべて心の内部の問題、つまり、本人の問題にすり替えてしまうわけです。

これは、個性の時代の裏返しとしての自己責任の時代を反映しているかもしれません。

人生において何かにつまずいた時、それが自分の責任なのか、自分のせいではないのか、これは普通の人なら誰でも悩むところです。

何でもかんでも他人のせいにするズルい人間にはなりたくないですし、さらには、多少のことであれば自分が嫌な役目を引き受けて周りを上手く回すことだってかまいません。

しかし、どう考えても自分のせいではないのにそれを平気で人に押し付けてくる輩もいますし、それどころか、あんな人間がどうやって今までやってこられたのだろうかと目を疑うような人と関与せずにいられない状況が来たりします。

にもかかわらず、社会に目を向けると、自己責任という言葉のオンパレードで、困難な状況でもうまく切り抜けるのも一つの能力と言われたり、結局全部自分の責任なんてことが言われたりして、冷静に分析するどころではありません。

そこで、このカードが登場するわけです。

過去にしろ現在にしろ未来にしろ、苦難であることには違いないという意味では凶兆を示すカードには間違いありません。

しかし、自分のせいではない、外部に悪魔がいるのではないかということを示唆してくれるわけです。

凶は凶でも、単純に苦難が待ってるよではなく、自己責任の時代において、自分の内部と外部を明確に分ける視点を提供してくれるカードです。

悪魔の存在

このカードからはもう一つのことが言えます。

それは、悪魔を悪魔としている前提には価値観があります。

しかし、価値観は人それぞれであり、究極的には、悪魔からすれば天使こそが悪魔みたいなものです。

したがって、このカードの前提には、悪魔を悪魔と呼ぶだけの価値観があることになります。

つまり、問題の本質は自分の心の中ではなく、外部にあるのだと思ったのであれば、それは、外部に存在するものを悪だと言える価値観を持っていることになります。

自分を苦しめている相手は、自分と全く違う価値観を持っているという点も重要です。

このカードの解釈をする時にはこの価値観にしっかりと着目する必要がある気がします。

裏の意味

以上を踏まえればこのカードの裏側の意味はシンプルです。

つまり、「悪魔によって苦しめられている」ことを裏側から解釈すればよいわけですから、「苦しめられているのは外部に悪魔がいるから」、「自分のせいではない」という解釈になるでしょう。

また、価値観という点に根差して考えれば、苦しんでいる自分は正常であるということになります。

自分を苦しめているのは悪魔なわけです。

逆の意味

逆の解釈もシンプルで、悪魔はいない、もしくは悪魔による呪縛から解放されるということになるでしょう。

しかし、もし障害に当たったとしたらそれは自分の内部に何か原因がありそうです。

もし現在や過去で苦しんでいる(or苦しんでいた)のあれば、それは、悪魔がいたんじゃなくて自分に問題があったということになるかと思います。

また、価値観という点に着目すれば、過去にしろ未来にしろ、悪魔はいない、つまり、考え方の違いに悩むことがあるのであれば、自分が間違った(偏った)価値観を振りかざしているのではないかと疑うべきという話になります。

まとめ

正位置
悪魔がいる。外部的な要因で苦しめられる。しかし、問題は自分の内部の価値観にはない。相手は自分と全く異なる価値観を持っている。

逆位置
悪魔はいない。外部的な問題で苦しむことはない。しかし、自分を原因とした問題はあるかもしれない。自分が間違った価値観を持っていただけかもしれない。


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