タロットカードの昼と夜

「二律背反性」をテーマにタロットカードの意味を解説していきたいと思います

タロットカードとは


この記事ではタロットカードとは何かについて解説します。

歴史

タロットカードの起源は正確にはわかっていないらしいのですが、15世紀のイタリアにおいて既に存在していたことはわかっています。

ただ、当時はトランプのようなゲーム用のカードでした。

しかし、18世紀後半に二人のフリーメイソン兼オカルト学者が、タロットカードの意味を神秘主義的な観点から整理していくつかの論文を発表したことをきっかけにして、タロットカードは神秘的でオカルト的な存在となります。

なお、“タロットカードの意味を神秘主義的な観点から整理する”という試み自体が素人には意味不明ですが、これは、絵の中にある様々なシンボル(色、物、数字等)に数秘術とか西洋占星術とかキリスト教神秘主義とかとの関係から意味を見出し、体型的にシンボルの読み方を整理した上で、カードから古代の英知なり寓意を引き出そうという試みを意味します。

その試みが19世紀を通じて発展し、いろいろな魔術結社みたいなものが結成されるのですが、その中でも一番有名なのが、イギリスで結成された魔術結社「黄金の夜明け団」です。

ライダー版タロット

「黄金の夜明け団」のメンバーの一人であり、一定期間そのリーダーであった、アーサー・エドワード・ウェイトが、抽象的過ぎた従来のタロットカードに関して、これまでの神秘主義的な英知や自身の考察を具現化したカードの作成を思い立ちます。

ウェイトは、同じく「黄金の夜明け団」メンバーで、画家であり舞台美術家であった、パメラ・コールマン・スミスに依頼して、より分かりやすいタロットカードを作成しました。

これが、現在もっとも有名なタロットカードとして知られているものであり、当初の出版元の名前から、「ライダー版」とか、「ライダー・ウェイト・スミス版(RWS版)」とか言われています。


ライダー版の魔術師
<Wikipediaより引用>

なお、元祖ライダー版のデザインそのままに明るく鮮やかな色合いに描き直したのがユニバーサル版です。

現在、タロットカードと一言で言えば、ライダー版を指すのが普通です。一方、ライダー版以前の古典的なタロットカードはマルセイユ版として知られています。

マルセイユ版の魔術師。
<Wikipediaより引用>

もっとも、タロットカードにはライダー版とマルセイユ版しかないわけではなく、いろいろなバージョンがあり、古典的なものとして一番知られているのがマルセイユ版で、タロット全体で一番有名なものがライダー版というだけです。

また、現在も多くの新しいデザインのタロットが出ています。

大アルカナと小アルカナ

タロットカードは、全部で78枚のカードから成り立っています。

大アルカナ22枚と小アルカナ56枚で合計78枚です。ここで、アルカナとは、「神秘」を意味するラテン語です。

大アルカナは22枚のカードからなり、一枚一枚が強力なメッセージを持っています。

その点小アルカナはトランプのような感じで、ワンド(杖)、ソード(剣)、カップ(杯)、コイン(金貨)の4種類のマーク(スートと言います)×14枚のカードからなります。1から10の10枚の数札と4枚の絵札です。

絵札が4枚あるのがトランプとの違いですが、中身も少し違って、ペイジ(小姓)、ナイト(騎士)、クイーン(女王)、キング(王)の4種類です。

実は小アルカナの数札こそがマルセイユ版とライダー版の違いで、マルセイユ版に代表される古典的なタロットカードにおいて、数札はほとんどトランプと同じで、カップの3であればカップが3個書かれているだけでした。

<Wikipediaより引用>

これを、ライダー版では、無機的カードでしかなかった小アルカナに人物を登場させて一連の物語風にしており、それこそがライダー版成功の理由と言えます。

<Wikipediaより引用>

その結果、ライダー版において、大アルカナは人生や世界の真理を表現しているのに対して、小アルカナは人生の様々な一場面を描いている、という整理になるかと思います。

タロットカードの選び方

趣味ですから好みで選ぶのが正解です。

もっとも、タロット解説書のほとんどがライダー版に基づいて解説しているので、初心者はライダー版を使わないと勉強はできないと思います。

マルセイユ版で体系的に解説しているのは松村潔氏の書籍のみだと思います(分厚い体系書を何冊か出しているので十分かもしれませんが)。

また、ライダー版のカードはシンボルのオンパレードですから、解釈もしやすいです。ライダー版の解釈になれてしまうと、マルセイユ版は解釈を引き出すシンボルが無さ過ぎて困ったりします。

しかし、シンボルが豊富なゆえに、何がシンボルで何がシンボルではないのかあいまいで、絵柄の細かいところおいて、何らかのメッセージを包含しているのかどうか議論があり、書籍によってはものすごく細かいところに注目して解釈しるのに、他の書籍では全くその点に触れられていないということはよくあります。

その結果、入門書的な薄い本に書いてあることはどの書籍でも大体同じなのですが、入門書以降の書籍に関しては、書籍ごとに解説が全然違って困ったりします。

タロットカードの解釈

もっとも、カードの解釈が専門家によって分かれるのも仕方が無かったりします。

それは、カードを体系的に理解しようとすると、シンボルの解釈において、何らかの方法論に依拠しなくてはならなくなるのですが、どれを採用するかにより、結果が大きく異なってしまうからです。

タロットカードの各カードにおけるシンボルの解釈にあたって、作成者たるアーサーウェイトの意図(著作がある)、数秘術、西洋占星術、ギリシャ神話とかエジプト神話とかの各種神話、聖書等、何を基準にして解釈するかで大きく解釈が分かれています。

しかし、書籍を出版するような有名研究家やタロティストの方は、その多くが、絵から受け取るインスピレーションを大事にするように主張していて、特定の解釈に縛られたり、何か真実の解釈があるかのようなアプローチは間違っていると口を揃えてアドバイスしています。

専門家だから、書籍の中では、何に依拠するか最初に決めて、それに従って体系的に解説しようとしているわけです。

タロット好きの方のほとんどは絵に魅入られた方だと思うので、最終的には自分がその絵から受け取るメッセージを大事にすべきかと思います。それが分からないという人は、率直に言って、タロットは向いておらず、理論的な西洋占星術等の方が向いているのでしょう。


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